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日本最高所の野天風呂「本沢温泉」へ

大雨の返り討ちの巻

2008.10.5 走行

 懲りない親子

 前回ひかりと一緒に行ったツーリングは、大雨に見舞われた「親子3組3台タンデムツーリング隊」による蓼科方面へのツーリングだったが、改めて今年のツーレポを読み返してみると、何と4月の「伊豆半島春満開ツーリング」以降ひかりと行った全てのツーリングで何かしら雨に遭遇している事が判明した。

 そのため最近は自分から「私は雨女だから・・・」とまで言い出す始末。少しかわいそうに思い、次回こそは天気が良い日に連れてってあげたいと願っていた。そんな中、本来は前回行ったひかりではなくあかりか大貴の順番で5日(日)に予定していたツーリングには、連続となるがひかりが行く事となっていた。

 今回の目的地は日本最高所の野天風呂と言われる「本沢温泉」。この温泉は私がいつかは行ってみたいと願っていた温泉だ。それにそろそろ紅葉も始まりかけているだろうし、あまり遅い時期に突入してしまうと降雪により行けなくなるかもしれない。また、ここへのルートは本格的なオフロードを走行し、しかも最後は片道1時間以上の登山道を歩かなければならないという子供にとっては過酷なもの。本来は私1人で行こうと思っていたのだが、温泉好きなひかりも行ってみたいと言うのだ。私は多少の登山経験が有るので大した事はないが、ひかりにとっては初の軽登山、天気が悪ければ諦めるつもりでいた。

 そして週末を迎える。無情にも日曜日はまた前回と同様夕方から雨の予報となった。今回は諦めて大人しくしているか・・・とも思ったが、「行ってみないと天気は分からないじゃん。もしかしたら晴れるかもしれないよ!行こうよぉ!」とのひかりの強い要望で、「じゃあ行ってみるか。但し、今度は早めに切り上げて明るいうちに帰って来ようね。」と言う事で、またもや辞めておけば良いのに行ってしまう。(^^;) ちなみに今回はオフロード走行が予定されている為迷わずスーパーシェルパで行く事となる。ここ最近R1200RTばかりだったので、スーパーシェルパでのツーリングは久し振りとなった。そのため前日土曜日に久し振りに車両の点検を行い準備も万端だ。

 タンデムスタイルの取材を受けました

朝陽を浴びてタンデム走行 日曜日の朝、天気はまだ悪くなく星空がまだ見える早朝5時に出発する。そして何時もの様に中央高速道路に入ると背中に朝陽を浴びて走行した。

 この日は日中も曇り空のみだと思っていたので、思っていたよりも天気が良くひかりも私も気分良くバイクに乗る。この日は朝方少し肌寒く、念のため何時もは素通りする藤野PAに立ち寄りひかりのグローブを冬用のスキー用グローブに交換させる。

 そしていつも立ち寄る談合坂SAにも立ち寄った。

中央高速道路談合坂手前付近 談合坂SAに到着しバイクを停めるとひかりは先に1人でトイレへと行った。私がヘルメットなどを片付けていると1人の男性が声を掛けて来た。この方は私も偶に購入する「タンデムスタイル」の取材を行っている方だった。そう、ひかりとタンデムで来たので取材の申し出だった。

 しばらくひかりを待つ間に色々とバイクの装備などを聞かれアンケートに応える。そしてひかりが戻って来ると一緒に写真を撮ってもらい取材は終了した。もしかしたら近々「タンデムスタイル」の雑誌に掲載されるかもしれない。(^^)

朝から談合坂ラーメン そして何時もならパンを朝食として食べるのだが、ラーメン好きのひかりは身体が少し冷えたせいか温かいラーメンが食べたいと言う事で「談合坂ラーメン」を食べる事にした。ラーメンは2人で1つを取り分けて食べる。この「談合坂ラーメン」は味噌味だがスライスして揚げた香ばしいにんにくがアクセントとなって美味しい。そして今日の登山用にとしっかりパンも購入した。

 その後談合坂SAを出発すると勝沼ICで下り、前回と同じガソリンスタンドで給油し再び甲府昭和ICで高速に乗り、また直ぐに双葉SAにも立ち寄った。談合坂SAと同様このSAにも多くのライダーが集まっている。ひかりは小学生と思われる同世代の女の子が同じ様にタンデムで出発する姿を見て、しばらくの間何故か嬉しそうに見つめていた。

双葉SAにて この双葉SAでの休憩は何時もより多めの3回目の休憩となった。そこで今度は一気に目的地を目指して走る事になる。中央高速道路は最終的に須田ICで下り、前回の蓼科ツーリングで帰り道として通った道を前回とは逆方向へと走る。

 走行中は「この道は前のツーリングでも通ったね!」とか「ここに立ち寄ったね」などと話しながらとにかく目的地へ。

 しばらく走り清里付近に差し掛かると学校の行事らしい集団で歩いている学生達を見かけだす。「強行遠足」などと記されたポスターが貼られていたのでこれだなと直ぐに判った。

 実はこの強行遠足の列はこの後しばらく見続ける事となる。走れど走れどいつまでも学生の列は続き結局野辺山を越え海ノ口付近まで見かけた。いやはや凄い行事を行うなぁと感心する。

コンビニで準備を整える ここで左折

 八ヶ岳林道に入る前にコンビニに立ち寄り、スポーツ飲料やキャラメルなど購入ししっかり軽登山に備える。そして国道141号線の松原湖入口交差点を左折し県道127号線へと入る。そして前回入浴した小海リエックス前を通り過ぎたその先のT字路を左折して稲子湯経由本沢温泉入口へと向かった。この道では途中鮮やかな色をした蛇が車に轢かれていたのも目撃する。

林道ではなく登山道だった!

この看板が右側に見えたら右折します ここからが本格的なオフロード

 本沢温泉の大きな看板が立っているT字路を更に右折ししばらく走るとやっと林道入口に到着した。ここまでの道のりは完全に舗装路であり、本来ならR1200RTでも何の問題も無く来れた筈である。しかし、実はここからが本番。この場所から本沢温泉まで歩くとなると片道2時間以上も掛かってしまう。そしてこの先の道は四輪駆動車(但し、大型四駆は無理)かオフロードバイクでしか行かれないと事前に情報を入手している。

 今回スーパーシェルパで来たのはここから終点である車止めのゲートまで行けば、そこからは片道約1時間強で本沢温泉まで行けると言う訳だ。ここからがやっとスーパーシェルパの本領発揮である。(^^)

最初はフラットダートだが・・・ 林道入口付近から見れば最初は単なるフラットダートが続いているような感じでそんなに大して荒れた道ではない感じがした。荒れた林道もそこそこ走り慣れている私はこの程度ならタンデム走行でも余裕だなどと思っていると段々雰囲気が怪しくなってきた。

 フラットダートは急に大きな轍(わだち)道となり、そして細くカーブのきつい急坂へと変化する。ハッキリ言ってなめていた。この道はもう林道と言うものではなく登山道そのものだった。

 そして1番恐れていた事が現実となる。(--;) 対向車だ!四輪駆動車が急坂をゆっくりと下って来てお互い全くすれ違えられない急坂の場所で鉢合わせとなってしまったのだ。

オフロードバイクでも苦戦を強いられる

 相手の四輪駆動車の横は全く人が通れないばかりか車幅>道幅の状態。これは例え相手が四輪駆動車でもバックするのは容易ではない事は、パジェロやランドクルーザー100を乗り継いできた私としては直ぐに判った。

 そこで仕方なく私がバイクに跨ったまま後に下がって道を譲ろうとするのだが、事前にタイヤのエア圧を下げていなかったのとタンデムで車体が重くなっているせいでタイヤがロックし、そのままズルズルと後に下がって停まれなくなり大変危険な状態に陥ってしまったのだ。

 そして何とか停まれたところで一先ずはひかりをバイクから降ろし、バイクがもし倒れたとしても下敷きにならない様にバイクから少し離れさせ、何とか交差出来る場所までバックしバイクを寄せたのだった。対向車の方には勿論丁寧にお礼を言われた。

最奥のゲートに到着 何とか対向車を無事やり過ごしたので再びひかりを乗せ発進しようとするが、バイクから降りる事もままならない不安定な急坂の場所で、バイクに跨ったままタイヤのエア圧も下げられずそのまま慎重に発進せざるを得なかった。

 案の定スロットルを慎重に開けてもズルズルと後退、それでも何とかもがきながらも無事発進出来たのだった。

 そして何とか無事最奥のゲートまで辿り着いた。ここには2台の四輪駆動車のみが駐車されていて、バイクは私達のスーパーシェルパのみだった。

 到着すると早速リュックにタオルや食料・飲み物等を詰め込み準備を済ませ出発した右下写真の木の棒は、歩き出してから直ぐに拾ったもの。この後ここまで戻ってくるまでずっと杖代わりに使っていた。

ここからは徒歩で 元気に歩くひかり

自然の姿を改めて実感

白樺の木 ここからはとにかく歩くのみである。天気もまだ晴れており雨の降る気配はまだない。山の天気は変わり易いので安心しきってはいなかったのだが気分良く歩き始める事が出来た。

 歩いては立ち止まりとゆっくり山を登って行くと時折鳥の鳴き声が聞こえだした。ひかりは先日アウトドアブランド「モンベル」のイベントで自作したバードコールを持って来ていた。早速ひかりはリュックからバードコールを取り出し鳴らしてみる。

 するとしばらくして本当に直ぐ近くまで鳥がやってきて、ひかりの鳴らすバードコールに反応している感じだった。これにはひかりは大喜び!自分で作ったバードコールがこんなにも早く試す事が出来たのでとても嬉しかったようだ。当然このバードコールはひかりの大切な宝物となった。

ちょっと休憩 この登山道では全く雑音が無い世界を改めて感じた。聞こえる音は鳥の鳴き声、風の音、そして時折遭遇する水の音だけだ。ひかりはこの音が聞こえない世界を初めて知ったと思う。「本当に何も聞こえないね?!」思わずひかりが私に言う。「本当だね。何も聞こえないね。」

 さすがに山道を本格的に歩くのは初めてのひかり。最初はやたらと休憩が多かったが、歩き方のコツ(目線・歩幅・ペース)を教えると段々慣れてきて少しは楽になったそうだ。

 途中の道では水が流れていたり紅葉が始まっていたり、杉林が白樺の木に変わったり、行き会う人と挨拶をしたりと景色を楽しみ話しながらひたすら歩いた。

紅葉もちらほら登山道に流れる湧水湧水で手を洗うひかりまだまだかなぁ?ハシゴを利用した橋も有るやっと見えてきた山小屋

 やはり1時間では到着せず結局1時間20分は歩いただろうか?やっとキャンプ場が見え、次に山小屋が見えてきた。取りあえず無事到着である。この山小屋前には登山者も多く集まり中には家族4人で来ていた人も居た。私とひかりは一先ず談合坂SAで購入したパンを食べて昼食を済ました。そして少し休んでから山小屋で大沢温泉の野天風呂の料金(大人600円、小学生400円、計1,000円)を支払いこの山小屋から更に登った所にある大沢温泉へと向かった。

山小屋到着紅葉の進む山

 山小屋から野天風呂はそんなに遠くないと思っていたのだが、結構坂を登って行かなければならずひかりが
「まだかなぁ~?まだ登るのぉ?」と思わず洩らす。そしてやっと視界が開けるところに出ると急に硫黄の匂いが立ちこめ温泉の存在を急に身近に感じるようになった。

 今まで白樺の木などをかき分けて登ってきたのだが、野天風呂手前からは黄色い石や土が覆っている崩れやすそうな斜面へと出た。そしてやっと野天風呂「大沢温泉」に到着した。

視界が開け出す硫黄の匂いが漂う

 温泉には既に5人ほどの人が湯船に浸かっていた。小さな湯舟は満員状態で少し待ってから入ろうと言う事になった。ひかりは硫黄の匂いがする石に興味津々。私も持ってみると思っていた以上に軽くてもろく、まるでチョークの様に字が書けてしまうほどだった。

 しばらくその石を砕いたりして遊んでいると、段々野天風呂からあがる人が出てきて空いたので、私達もいよいよ入る事にした。

日本最高所の野天風呂にて ひかりはもう小学校5年生の女の子なのでプールで使用するゴムの付いたタオルを巻いて服を脱ぎ、入浴用の薄いバスタオルを巻いて温泉へと入った。私も服を脱ぎそのまま湯舟へ。

 この温泉は成分がとても濃く、温泉から出てもしばらくは硫黄の匂いを楽しめそうな感じ、温泉は乳白色より少し灰色がかった感じの色で透明度は極めて低い。湯船に入ればまったく身体が見えなくなるほどだ。

 湯の温度は私には丁度良い感じで熱くも無くぬるくも無く長い間ゆっくり浸かっていられそうな感じだ。そして山側の湯船の中では温泉が湧き出てくる場所があり、結構思っていたよりしっかりと新しいお湯が湯舟に注がれているのを確認出来た。まさに源泉掛け流し状態だ。(正確には不明です) ちなみに湯舟の中の底はジャリが敷いてある様な感触だった。

泉質は濃く意外と清潔な感じ景色も素晴らしい

 ここからの景色は視界が広くて気持ちが良い。目の前には山が見え、野天風呂の横は沢になっており水も流れている。開放感たっぷりのまさにこれこそが野天風呂と言った感じ。湯舟の横の脱衣スペースや湯舟の縁の敷き詰められた板木は思っていたより新しく清潔な感じがした。

山小屋と野天風呂の中間付近 一緒に湯舟に浸かっていた方に写真を撮ってもらいしばらくゆっくりする。まさに至福の時である。この温泉で一緒になった30代後半位の男性とは結構話しながら時を過ごした。この方も昔はバイクに乗っていたそうだ。そしてひかりが先に出て次に私も温泉から上がった。

 山小屋まで戻るとひかりがトイレに行きたいと言い出した。初めは山小屋の中のトイレを使わせてもらおうとしたが人が居なく場所も判らない。そこで外にあるトイレを使わせて頂いた。外のトイレは思っていた通りかなり汚い。それでも料金は1回50円だった。

山小屋への道先を歩くひかり山小屋

 山小屋前のベンチで少し休んだ後、大沢温泉の野天風呂入浴も達成したので下山する事にした。

 登りとは違い山を下るのはとても楽に感じる。ひかりもペース良く歩いた。すると途中にあるキャンプ場付近で野天風呂でお話しした30代後半位の男性とバッタリ再会する。

 この男性は私達より先に下山しだしたのだが、立ち止まってGPS装置の操作を行っていたので私達が追いついてしまったのだ。

 私も以前山に登っていた時はフィールドコンパスや気圧計などの多機能な電子装置を持っていたが、今や登山もバイクと同じハンディGPSの時代、GARMINのGPSとソフトのカシミールで登山ルートの記録や地図代わりと便利に使っている人は多い様だ。改めて電子機器の進化と登山の変化には驚かさせられる。

木の間に見える紅葉元気一杯のひかり

 そしてこの男性とはその後分岐路で別れ、また私とひかりの2人で歩く事となった。途中、2人組の女性を追い抜き軽快に下山する。そして大分下って来たところで天気が急に怪しくなってきた。そして霧雨が・・・。(爆) しかし、まだまだ濡れる様な雨の降りではなく無事バイクを停めた場所まで濡れる事もなく下りる事が出来た。この時点ではまだひかりは元気で安心する。

 一応念のため雨が降り出す事も想定してレインスーツを着てバイクに乗り今度は下り坂を慎重に走行する。ひかりは帰りがけに清里の清泉寮前にある「やまねミュージーアム」に立ち寄る事を楽しみにしていた。雨が降り出さない内にと先を急ぐ。しばらく走るとやはり少し疲れが出てきたらしく、少し眠いとひかりが言い出した。そこでそろそろ給油をと思い、ガソリンスタンドに立ち寄りここで休憩する事にした。

ひかりが突然の体調不調

温泉施設から見える景色 ところが・・・。給油中ひかりが気分が悪いと言い出した。やはり登山がきつかったのか?それとも風邪でもひいたのか?単なる乗り物酔いか?ガソリンスタンド内のテーブル席でゆっくりさせてもらうが中々回復しない。結構長い時間休ませてもらったが、体調は回復せず近くにある日帰り温泉施設でゆっくりと休む事にした。

 約1時間位もの長い時間、ガソリンスタンド内で休ませてもらっていたので外はしっかり雨が降り出し始めていた。

 ガソリンスタンドから温泉施設までは2~3分と近かったので助かった。何とかひかりと温泉施設まで行き畳敷きの休憩場所で横にさせた。

 この日帰り温泉は「八峰の湯」と言う温泉施設だ。入浴料金は大人500円、子供200円ととてもリーズナブル。しかもヘルメットは受付できちんと預かってくれます。

結局乗り物酔い?

 寝かせてから約30分ほど経ってからだろうか?体調が少しだけ良くなった様で私が食べていたカツ丼を食べたいと言う程回復した。何かしら食べれる様になれば大丈夫、熱もないし本人が言うにはそんなに疲れた訳でもないと言う。正直これと言って体調不調の原因は判らなかった。

 ここはまだ清里から25kmも奥の松原湖近く。また途中でまた体調が悪くならないようにとこの後もしばらく寝かせる事にした。

少しだけ回復?双葉SAにて自宅へメール 

大雨の返り討ちにあう

 長時間休憩した甲斐もあり、ひかりは温泉にも入浴出来るほど回復した。そして夕食は朝に続きまたラーメンを残さず食べきり、食欲も回復したのでこれでもう心配は無くなったと言う感じになった。結局この「八峰の湯」には夜19時頃までゆっくりしていた。

 そしていよいよ帰宅の途につく。外は雨が降り続いているしもう既に真っ暗な夜となっていた。(爆)

 その後私達は雨の中をひたすら東京の自宅へと走り続ける事となる。前回の様な雷と渋滞こそ遭遇しなかったが、談合坂SA付近では雨足も強くなり50km/h規制まで出る程の豪雨となってしまった。前回のツーリングのリベンジどころか完全に返り討ちにあった。

 カウルも無いスーパーシェルパで雨に耐えながら結局自宅到着は23時近くとなってしまった。

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